Welcome to my blog

沙羅双樹の花のブログ

Article page

林克明さんの『不当逮捕 築地警察交通取締りの罠』読了!~警察被害者が国家権力と闘う~

Category - 読書タイム
ジャーナリスト・林克明さんの『不当逮捕 築地警察交通取締りの罠』読了!
 

不当逮捕



    駐車違反をめぐるトラブルから、築地警察署の婦人警官に不法逮捕され、無実の罪で19日間も勾留された一般市民が、その汚名を晴らすべく起こした国家賠償請求訴訟で見事に勝訴判決を得た“当事者の”二本松進ご夫妻の国家権力との闘いをジャーナリストの林克明さんが一冊の本に纏めて下さいました。国賠訴訟で明らかになった証拠をもとに、二本松さんは築地署の署長らを刑事告訴をするも、東京地検は被告訴人への取調べを一切行わないまま「不起訴処分」とした。一方、二本松さんの公務執行妨害罪について地検は、「起訴猶予処分」の判断を下し、二本松さんの人生に「前歴」と言う汚名を着せたのである。
 
当事者の二本松さんとは一度草の実アカデミーの勉強会でお会いしたのだが、ご挨拶程度で裁判の詳しい話はお訊き出来なかった。本年12月16日に同じく草の実アカデミー主催のシンポジウムに二本松さんが講師として登壇なさったのだが、私自身は、別の勉強会に参加していたために、直接お話を伺うことは叶わなかった。当日の講演の様子は、ジャーナリストの寺澤有さんが撮影しておられるので、そちらも合わせてご視聴下さい。
 
尚、事件の概要の他に、勝訴率6%、しかも警察相手の国賠訴訟の勝訴は皆無に等しい中、二本松さんが何故、この国賠訴訟に勝てたか?と言う観点からも本書P249「市民に勝利をもたらした5つの要因」に林さんが詳細に分析されている。
 
実は、本書を読みながら思い出した事がある。『一般人を潰す方法は、罪をなすりつける為に証拠を捏造する。被疑者の供述調書の改ざんは当たり前。警察に都合の悪い証拠や証人は徹底的に隠す』。私が12月16日(元北海道警察釧路方面本部長の原田宏二氏の傘寿記念講演)でお会いした元刑事によると、『例え、一般人が悪くなくても、警察のご機嫌を損ねた場合は、その場で警官に謝ればそれで無かった事(チャラ)になる』そうだ。
 
二本松さんを、犯罪事実が無いのを認識しながら不当逮捕した女性警察官がヒステリックになった原因やその後の築地警察署の対応、警察官の供述調書作成に至る経緯も含めて、この元刑事の発言は参考になると思う。
 
該当する記述は、P80。供述調書から削除された妻の供述に「プライドが許せなかったのか」の記述があるが、上述の職歴20数年の元刑事によると『警官はプライドだけで生きている』。一般人が警官を敵視、若しくは、警官に従わなかった場合はプライドが傷ついた訳だから、その一般人を徹底的に潰すことになるようだ。女性警察官のプライドが傷付いたのではないかとの疑問は、二本松さん自身の、『朝早くから巡回している時に(二本松さんの奥さんが婦人警官に)挨拶しなかったからカチンと来た・・・多分』(寺澤有氏の動画参照)との発言からも分かる。この事は、挨拶しなかったと言う理由だけで、事件を捏造し、大事に発展した「築地警察署冤罪でっち上げ事件」の突端になったと思われる。

 
私(女性警察官)のプライドが傷付いたからチョット脅して懲らしめてやろうかしら・・・その為には、犯罪を作り上げなければ・・・駐車違反で反則金狙いも実際には二本松さんが当日運転していなかった事実も判っているから。さて、どうしようか!?

 
これは想像の域を超えないが、『私も忙しい。暇な悪質婦人警官と付き合っていられない』との二本松さんの言葉で俄然スイッチオンとなり、「警察が作った物語」(二本松さんの言)が展開するに至ったのであろう。つまり、運転者を自分ではなくご主人だと奥さんが最初に供述した時点で、警察の描くストーリーを補強した事になり、その後、やはり駐車違反での立件は無理筋と判断した現場警察官が、悪知恵を働かせて「公務執行妨害物語」を作り上げたのではないだろうか。

本件とは関係ないが、私が当事者での裁判では、これを裁判所で陳述すれば、確実に自分に有利になると思った瞬間が別々の訴訟で2度あった。が、事実を述べて負けるならそれも又よしと、私は腹を括った。本件では、まさか、その時点で警察にご自分の供述が悪用されるとは奥さんも思っていなかったはずであるが、さほど警察は悪どいと考えたほうが良いかも知れない。
 
この様に考えると、(P79) 警察のような権力と対峙する時に、一般人は事実ではない事を供述するリスクを考えるべきであろう。事実を述べれば、例えそれが自分にとって不利な状況に(恣意的に活用された結果ではあるが)追い込まれても、その後の供述との整合性を考える必要もなくなるし、やはり、事実は重い。
 
P87供述調書へのサインの行。『直すところがあったら、サインしてからでもできるから』。これは、大嘘である。サインさえあれば、警察は都合よく改ざんした調書を好き勝手に利用・乱用が出来る。又、P85〜86にかけての奥さんの供述には、『 「警察の鞄に触れただけでも公務執行妨害になる…」と言われたので、「私」がと説明できなくなってしまった。』とある。ここは重要なポイントかも知れない。一般人の心理が警察に付け入る隙を与えるのだ。十分にあり得る。

これも本件と関連があると思うが、先述の元刑事の話では、『逮捕した時点で警察の勝ち。起訴しようがしまいが、関係ない。被疑者は、(逮捕された事により)社会的に抹殺されるのだから』。これなら、女性警官の必死の逮捕アッピールも、頷ける。
 
P112 ベルトコンベア式になされた勾留請求。裁判所は、勾留請求をほぼ無条件で認めると聞いているが、以前、伺った寺澤さんのお話とも合致する。つまり、日本の刑事裁判では、警察が事件を捜査し、送検され検察が起訴すれば、99.9%の確率で有罪が決まる。余談になるが、以前、私自身が告訴した案件で、検察庁の不起訴処分が納得いかずに担当の及川検察官に説明を求めた時にも、同様の事を言われたのだが、その検察官によると、『100%有罪の可能性がなければ、起訴しない。』そうである。言い換えれば、1%でも無罪になる可能性のある事件は起訴しないと言う事である。
 
P136 「判例と闘いますか?」一般人がこれを検察官から言われればグーの音も出ない。事情は違うが、私の場合は、不起訴処分を決めた上述の及川検察官の不起訴処分の理由を知るべく、質問をしながらかなり粘ったが、結局、及川検察官は、背後の棚から分厚い判例集を持ち出し、違法性阻却事由の判例を私に示しながら、「判例と闘いますか?」と言ったのだ。その場では私は納得せざるを得なかったのだが、その言葉は、それ程の破壊力があるのだ。被疑者であるなら尚の事、罪の程度を軽くしたいと誰でも思うだろう。
 
第5章を読み進む。P142 「警察を訴えると伝えていた…」、警察が証拠秘匿態勢に入ったキッカケであろう。新宿署違法捜査事件の原田氏国賠でもそうであったが、警察が遺族や被疑者本人から国賠訴訟を提起されると踏んだ時点から、警察は組織ぐるみの隠蔽工作を始める。重要なキーワードかも知れない。
①一般人に無視された(プライド)
②国賠訴訟提起
 
いよいよ佳境に入る。P216 には、証拠に基づく公正な裁判を阻害する「3点セット」が書かれている。現状、これを逆に防ぐ手立てはあるのか?この章には、裁判官忌避の申し立てに関する記述がある。私も国賠訴訟の傍聴を通して、何回かこの裁判官忌避の申し立てに出くわしたが、タイミング(次回の判決期日を言い渡す直前)も重要であるらしく、法廷は緊張感に包まれるものだ。弁護士にとっては、結審を阻止する手段でもある。ここは、二本松さんの代理人弁護士の働きが功を奏したようだ。
 
最後に、一般人が警察相手の国賠訴訟に勝ったその理由について!私が最も関心があった第8章であるが、市民に勝利をもたらした5つの要因について林さんが分析していらっしゃいます。
 
これは、本書を購読なさって確認して下さいませ。P249に書かれていますよ。心変わりして原告勝訴判決を言い渡した一審の裁判長に関する情報もチェックしてみたい気がしました。


 
 
 
 
    
関連記事

Category - 読書タイム

0 Comments

Post a comment