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虚構なのか?現実なのか?異色ミステリー『汚名刑事』津田哲也著 読了!

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正義感は自虐行為?




汚名刑事




津田哲也さんの『汚名刑事』を読み終えました。ノンフィクションなのか?フィクションなのか?でも小説のモデルはあるようです。警察関係の異色ミステリーを読むのは、黒木昭雄さんの『神様でも間違う』以来ですが、この『汚名刑事』はリアリティーあり過ぎで逆に怖くなりました。稲葉圭昭さんの『恥さらし 悪徳刑事の告白』にも通じるところがあり、平成の刀狩に関連する「泳がせ捜査」や「おとり捜査」の実態が赤裸々に・・・警察が、組織を守る為なら違法な事も厭わない実態が素人ながらよく分かりました。いや、本書は小説なのですが。。。

この本は、世の不条理を改めて問う内容になっていますが、初っ端から「科捜研の女」が(笑)
主人公は鎮目という名の「汚名を着せられた刑事」で、捜査協力者の勝田が何者かによって殺害されたところから物語が始まります。拳銃自殺として処理されたこの事件ですが、最後にどんでん返しがあります。因みに科捜研と言うと、何か公正公平な調査研究機関、しかも科学的な捜査を一手に担っている印象を持ちますが、科捜研が独自の判断で鑑定をすることはないそうです。警察の都合の良いような結果を求めての鑑定ですので、都合の悪いことはそもそも科捜研に回さないと言うことでしょうか。

拳銃の知識は全く無い私ですが、科捜研が科学的な真相を究明する機関でないことは、この物語からも容易に想像出来ました。実際のところはどうでしょうか?この勝田偽装自殺事件を、1997年に戸部署で発生した取調室での被疑者誤射殺事件を思い出しながら読んでいたのですが、科捜研の役割が分かるような気もしました。因みに本書の勝田偽装自殺事件の犯人は・・・???小説の結末を言ってしまうのは野暮ね!と思いながら・・・実は、本書の帯に書いてありました。

さて、警察の組織防衛の手口は、それは公営やくざと揶揄されるだけのことはあるみたい。P.71から始まる銃器対策課発足は読み応えがありますよ。泣く子も黙る警察庁(サッチョウ)が、治安維持の為と称して、不法銃器の取り締まりを強化したことが全ての始まりです。金丸信狙撃事件もそうですが、警察が威信をかけるってこういうことなのね。その拳銃摘発の至上命令が、(先の稲葉さんの告白本によると)北海道警による「覚せい剤130キロ、大麻2トン、拳銃100丁」の密輸に繋がる訳ですが、本書では「ビッグウェーブ号事件」としてP.143あたりから詳しく書かれてあります。思わず北海道警察の通称:アンドレイ事件と錯覚してしまいました。これはもうノンフィクションなのだと思いながら読んでいましたが、少しでも小説らしさを見つけようとしていたら・・・「エスを始末」・・・何、これ!?

エスとはスパイのSで、悪事のお目こぼしをして貰いながら、警察に情報を売っているスパイのことです。「エスを殺すにゃ刃物は要らぬ 組織にチラッと喋ればいい」P.282からですよ。怖いですね。警察は知能犯です。何せ警察庁のお墨付きがあるので、やりたい放題です。組織防衛の為にはトカゲの尻尾は当然切るし、最大限利用して利用価値がなくなったらポイ捨て(笑)仁議もあったもんじゃありません。

気になる本書での警察が隠ぺいしなければならない事件とは、「ビッグウェーブ号事件」への警察の関与らしいのですが、先の勝田偽装自殺事件の真犯人の大藪(警察官ですが、実に阿漕な真似をする輩です。)を追い詰めるところは圧巻です。やれやれーもっとやれー、と檄を飛ばしながらクライマックスを読破。

そして最終章へ。警察の闇は暴ききれなかったと自嘲する鎮目ですが、確かに相手は巨大な組織であり、捜査権を持ち、裁判所とも仲良しこよしとあっては、気持ちが萎えて挫折するのも仕方ないかも。小説でありながら、リアリティーあり過ぎで自分自身が主人公になった気持ちで読み進んでしまいました。ちょっと色っぽい描写もありますし、超面白いので、秋の夜長の読書タイムにピッタリ!皆さんにオススメします。

警察組織の隠蔽体質は、初版から10年経った今も変わらないのでしょうか?




汚名刑事 津田哲也著(小学館)


アンドレイ事件については、「市民の目フォーラム北海道」(代表:原田宏二氏)のこちらの記事を参考になさって下さい。
*道警銃器対策課の違法なおとり捜査 再審請求



1997年11月に小樽港の岸壁付近で張り込んでいた道警銃器対策課の捜査員たちによってアンドレイというロシア人船員がトカレフと実包16発を持ちこんだ銃刀法違反で現行犯逮捕された事件ですが、この事件は道警とそのエスたちによる捏造事件だそうです。現在、アンドレイさんからの再審請求がなされています。





当ブログ内関連記事は、こちら↓です。
*真夏の夜に黒木昭雄さんの遺作ミステリー(恐怖の国民監視装置・Nシステム)
*稲葉圭昭著「恥さらし」・・・恥をさらしたのは道警!





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